平安時代を楽しめる作品

【必読】平安貴族の価値観が嫌になるほどよくわかる「源氏物語」


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平安時代にふれる作品として絶対にはずせないのがこれ。

もうね、ほんと、これを読めば平安時代の貴族の生活や考え方が一通りわかります。

ということで、平安時代の暮らしに知りたいのにこれを読まないなんてありえない!という作品を紹介します。

平安時代のことがわかる本といえば?

平安時代に興味をもって平安時代の貴族やその暮らしについて知りたくなった時にまず頼りにするのが本ですよね。

平安時代の暮らしを知るにはどの本を読めばいいのか?と。

で、平安時代の何が知りたいのかによって読むべき本も違ってくるのでこの段階ではなんともいいにくいんですけど、

もしそれが「平安時代の貴族の暮らし」を知りたいということであれば私のおすすめは

源氏物語!

なんといってもこれですね。

え?でも源氏物語ってフィクションだよね?もっと史実に基づいたほんとか誰かの日記のがよくない?

と感じる人もいるかと思うんですが・・・

たぶんそれだと続かないかないんじゃないかと。

いや、正確には「歴史にものすごく興味がある」とかならそれでも楽しめると思います。

というのも、蜻蛉日記とか和泉式部日記とかこういうのは「歴史背景や平安文化についてある程度わかってる」からおもしろいと思うんですよ。

逆にその基本情報がわかってないと作者の気持ちがいまいちピンとこないんじゃないかなぁと。

だから、作者に興味を持ったりその時代の生の雰囲気に触れたいというのであればいいと思うんですけど・・・

歴史とかよくわからんけど平安貴族の雅な感じがたまらなく好き!みたいな人も多いと思うんですよ。

そうなると、最初は平安時代の基礎知識があまりなくてもそれなりに楽しめる作品のがいいんじゃないかと。

そう考えた時に楽しみながら平安貴族の暮らしを知るのに断トツでおすすめな本といえば源氏物語だよなとなります。

源氏物語といえば言わずと知れた日本が世界に誇る長編小説。

平安時代の中期に紫式部によって書かれた物語でなんと全部で54帖

400字詰め原稿用紙で約2400枚!

といわれると思わず身構えてしまうけど、読み始めるとどんどんその世界に引き込まれていってあっという間に読みきれます。

もちろん、現代とは違う平安時代ならではの習慣や常識もたくさん出てきます。

でも、源氏物語は恋愛を軸にしてる小説でもあるのでわからないところがあってもスラスラ読めるし、心も動きやすいです。

そしてなんといっても、ほんと、

紫式部が天才過ぎる!

登場する一人一人のキャラクターが本当に個性豊かで、それぞれの心の描写がうますぎます。

情景描写で切り取るカットや目を留めるポイントもすごくいい。

そしてそして、文化や常識は変わっても「あー人の本質って1,000年経っても変わらないんだなぁ」と思い知らされます。

千年も前に書かれたものがよく完璧な形でこの令和の時代まで残ったなぁと。

そんな世界でも類を見ない古典長編小説の源氏物語は今では日本のみならず20ヶ国語を超える言葉に翻訳されて世界でも読まれている作品です。

平安時代の貴族の暮らしがわかる!

と、それだけでも読む価値がある、というか、読まないなんてどうかしてるぜ!といいたくなるくらい素晴らしい源氏物語なんですが、

平安好き女子にはさらにおすすめしたいポイントがあります

それが

源氏物語を読めば平安貴族の価値観が嫌になるくらいよくわかる

ということ。

源氏物語は「源氏の君」という主人公を中心に書かれているお話なんですが、この源氏の君は帝の子どもでもともとは皇子なんですが、わけあって臣下の位に身を落とします。

つまり、源氏の君は超上流貴族ってこと。

なので、お付き合いする周りの人たちもみんな大臣の家の子どもやお姫様、皇族の皇子、姫たち。

それはまさに今私たちが「平安時代の暮らし」といった時に漠然と思い浮かべる平安時代の上流貴族の暮らしです。

なので、源氏物語を読むと貴族の暮らしぶりや宮中行事、仕事の出世や左遷といった生活の部分はもちろん、平安貴族は何に価値を置いて、どんな恋愛をして、どんな女性が素晴らしいとされて、どんな人柄が秀でてるとされるのか、などなど

平安時代の貴族の価値観がこれでもかと、嫌になるくらいよくわかりますよ。

源氏物語を読む時に気をつけたほうがいいこと

源氏物語は現代の感覚で読まないこと

これ、めちゃくちゃ大事です。

「平安時代の価値観がこれでもかと、嫌になるくらいよくわかります。」

っていうのは本当にその言葉通りの意味で、現代人の感覚からすると

え?それおかしくない??

ってことがわんさか出てきます。

特に源氏物語の最初の方に出てくる女の品定めとか、源氏の君の数々の恋愛とかもうね、正直読んでてイラッとしてくるんですよw

「あっこれ書いたの女性だった!」と思ってふと我に返ったり。

そういう意味でも紫式部は人の気持ちを知り尽くしている。

あと単純に結婚年齢とか一夫多妻とか現代とは常識が全然違うからそのあたりを今の感覚で読んでしまうとおかしな感じになってきます。

源氏物語って表面上は読みやすい平安の恋愛小説だけど、読めば読むほど深くって、平安時代を生きる人の悩みや葛藤、批判いろんなものが感じられます。

だから、現代の感覚で「光源氏(の恋愛遍歴)ありえねー」だけで終わらせてしまうとものすごくもったいない読み物です。

源氏物語の現代語訳は誰の訳で読むのかが大事

あと、ほとんどの人は現代語に訳された源氏物語を読むと思うんですけど、その場合、誰の訳なのかってのが結構大事です。

というのも、

古典を現代語に訳すというのは英語を日本語に訳すようなもの

なので、訳す人の語学の知識はもちろん、物語として読ませる表現力とか平安時代の文化への理解度によって訳が全然違ってきます。

源氏物語は1,000年前の作品なので著作権なんてないし、探せばネット上でいくらでも無料のものが読めます。

ただ、ネット上にある現代語訳の源氏物語は個人が趣味で訳したようなものも多いので品質はピンきり。

ものすごく補足の説明を丁寧に入れてるものなんかは平安知識のない現代人にはすごくわかりやすい。

けど、その補足が的確かどうかは微妙なところ、訳した人の想像が入ってることもあります。

説明が多すぎて物語の雰囲気を壊すこともあって、優雅で美しい紫式部の世界観を感じられないものもあります。

あと中には渋谷にいる高校生の話し言葉みたいなので書かれてるものもあったり。

なので、ある程度の品質と物語の雰囲気、紫式部が描いた世界観を大事にしたいのであればそれなりに知識のある人が訳した本になっている物のほうが安心。

もちろん、ネット上のものが全てダメってわけじゃないし、書籍化されてるものが絶対正しいというわけでもない。

男性か女性か、学者か作家か、年配の人か若い人かでも原文の捉え方が微妙に違ってくるし、どうやったって訳した人のバイアスがかかります。

なので、どれが一番というのは決めにくくて、結局はいくつか読んでみて自分がしっくりくる落としどころを見つけるという感じかなと思います。

源氏物語まとめ

源氏物語は「なぜ大人になるまで読まなかったんだろう!?」と思うくらい本当に面白い作品。

漫画やアニメにもなってるけど紫式部の原作をきちんと読んではじめて源氏物語のすばらしさがわかりますよ。

今の時代にはない習慣や常識なんかもたくさん出てくるけど、最初はそういうところをわからないままにして読んでも平安貴族についてかなりいろいろ知れる作品です。

源氏物語をまず読んで、「平安貴族、すごいな、おもしろいな!」と興味をそそられてから平安の歴史や文化について調べたほうがただの勉強ではなく楽しんで学べますよ。


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コメントは12件です

  1. ぽち より:

    こんにちは。初めてブログの方拝見させていただきました。
    私もたった今源氏物語を初めて読み始め、物語とまた平安時代に魅了させられました。
    ただ知識が乏しく分からないことだらけで色々興味のあることを調べていくうちにこのブログにたどり着きました。
    細かく丁寧に色々説明されていて勉強にもなりましたし面白いです!
    平安時代の魅力を存分に魅せているこのブログとても参考になりました。
    色々な項目をこれからも拝見させていただきたいです。
    応援しています!

    • 小町 より:

      ぽちさま

      つたないブログですが楽しんでいただけて嬉しいです、ありがとうございます^^
      近ごろ忙しくて更新が止まりがちですがコメントいただけて「また書こう!」という気持ちがムクムク
      おだてられると木に登るタイプです

      更新できるように頑張ります、ありがとうございました

  2. フェン より:

    小町様
    こんにちは!
    私はベトナムからの大学生です。
    今、源氏物語について、具体的に中産階級女性達のイメージに研究しています。
    このブログを偶然に読んで、とても幸せです。
    ブログの内容が助けます。ありがとうございます。
    私はベトナム語に翻訳したの「源氏物語」を読みましたが、日本語を読みたいなんです。インタネットにあると書きましたが、見つからなかったんです。できれば私に教えていただきませんか。
    他の平安時代の女性についてのブログも読みました。本当に面白いです。

    • 小町 より:

      フェン様

      コメントありがとうございます!
      そして、返信遅くなって申し訳ありません、今気づきました(;;)

      あまりに遅すぎて役に立たないかもしれませんが書きますね。

      源氏物語の現代語訳でネットで無料で見られるものは、ネット検索で
      「源氏物語 現代語訳」
      「源氏物語 現代語訳 無料」
      などのワードで検索をかけると出てきますよ!

      ベトナムの方にも源氏物語に興味を持っていただけて嬉しいです^^

    • より:

      普通にマンガを読めばいいんじゃないですか?
      大和和記先生の「あさきゆめみし」ですよ

      • 小町 より:

        あ様

        源氏物語の原作とは違う点がありますが、小説を読むのが苦手な人や入門にはよさそうですね。

  3. くろみつ より:

    小町様
    初めまして。平安時代の宮中文化に心惹かれ、時々マイブームが再燃します。
    先日映画の「十二単衣を着た悪魔」をAmazonで視聴した際、弘徽殿の女御があまりにも身軽にスタスタ歩いている振る舞いを観てから、装束の事を再度確認したくなって検索しているうちにこちらのblogに辿り着きました。
    他の記事もわかりやすく引き込まれてどれも面白く読ませていただきました!
    「源氏物語」は実家の文学全集(昭和時代に流行った応接間や書斎のインテリア的なやつ)で与謝野晶子訳を途中で挫折したクチです。
    こちらの記事を読んで、瀬戸内寂聴訳にトライしてみようかなー、と思いました。
    刺激を頂けた事がありがたく、感謝の気持ちをお伝えしたく、コメントさせていただきました。
    ありがとうございます♪

    • komachi より:

      くろみつさま

      コメントありがとうございます^^楽しんでいただけたようで嬉しいです。
      「十二単衣を着た悪魔」、ちょっと気になってました!
      源氏物語は本当に長いので、読みやすさってすごく大事だと思います。文章の感じが自分にあわないと本当にくじけますよね。
      再来年の大河ドラマは紫式部が主人公なので、今から読み始めたらいい具合にドラマが楽しめるんじゃないかな、なんて思いました。

  4. くろみつ より:

    小町様
    コメントへのご返信ありがとうございます。
    そういえば、大河ドラマ!今から楽しみですね♪
    俄然、源氏物語を読むモチベーションがあがりました。(「十二単衣を着た悪魔」はかなり斬新な設定で、ファンタジー・コメディでした(^^; )

    • 小町 より:

      くろみつさま

      >十二単衣を着た悪魔」はかなり斬新な設定で、ファンタジー・コメディでした(^^; )

      ですよね、ゲオでパッケージを手にとり、たぶんこれはきらびやかな装束とか雰囲気しか楽しめないだろうな・・・と思って悩んだ末、まだ見てません笑

  5. モリママ より:

    小町様

    こんにちは!大変興味深くブログを読ませて頂いています

    目下、大河ドラマの「光る君へ」のおかげで、心身共にお忙しい日々を送られているのではないでしょうか?(笑)

    実は小町様のこのブログ、今初めて拝読したわけではないのです。

    もう何年か前に拝読していました。
    私が平安時代の生活に様々な疑問を持ち、ネットで検索していると小町様のこのブログにヒットし、生活様式の細々した部分など、私が疑問に思った同じ箇所に視点を置いて探求されて書かれていたので、まるで痒いところに手がとどいたような想いで有り難く読ませて頂いておりました。

    その後、新しい仕事を始めてスマホを新しくしたため、この平安時代ブログを見る機会が無くなっていたところに、大河が始まってまた平安時代に触れ、小町様のブログを読みたくなって、現在復習させて頂いております

    やっぱり小町様のブログは素晴らしいです‼️

    今も昔の人の生活様式が気になって仕方ないです。
    特に私は寒いの超苦手なので、寝殿造りで冬を越すのなんて無理だと思われる小町様のお気持ちがよくわかりますし(笑)、貴族でこれなんだから、庶民は凍死する人多かったのでは?と思ってしまいます。

    京の都の中に貴族の区域からスラムのような所まであったのでしょうから、その中間層の生活がどうだったのだろうとか、
    鳥辺野がどんな様子だったのだろうとか、
    「光る君へ」の女君たちはあまりに顔を隠さな過ぎじゃないか…とか(笑)、

    ずっといろいろなことが気になってしまうのです

    あー、タイムトリップしたい。
    体験はしたくないけど、覗き見したいなぁと思う日々です。

    また小町様の更新を楽しみにしてますね❤️
    小町様の大河ドラマの感想などもお聞きしたいです

    • 小町 より:

      モリママさま

      コメントありがとうございます!
      ものすごく素敵なご感想をいただけて、めちゃくちゃ嬉しいです( ノД`)

      「光る君へ」、はじまりましたね♪
      そしておもしろいですよね。

      >「光る君へ」の女君たちはあまりに顔を隠さな過ぎじゃないか…とか(笑)

      ですね笑

      土御門殿でのおしゃべりも実際は御簾の中でしょうし、打毬の見学とか・・・
      あんな男子がいっぱいいる所に、貴族の中でもトップofトップの左大臣家の姫君があんな風に見学するわけがない!

      とは思ってしまいますが、そこにリアルを求めると絵面がぜんぶ薄暗い御簾の中になってしまうから仕方ない。笑

      とはいえ、やっぱり視覚的に色々見せてもらえるのは楽しいですよね。

      貴族たちの衣装や寝殿造りの様子はもちろん、五節の舞姫とか、現代では見られないものを見せてくれると「こういう感じかぁ」とわくわくします♪

      あと脚本もいい感じですよね。
      五節の舞姫や、雨宿りで男子の会話を聞いてしまう所とか、
      「まひろが経験したことを源氏物語の中に書いたってことにするのかぁ」って私は勝手に見ています(源氏物語を読んでいる人ならわかるはず)。

      平安時代の庶民の暮らしってほとんど資料が残っていないと言われているので、散楽とか、投獄された盗賊の無事を祈る貧しい人たちとか、当時の庶民の暮らしぶりをうかがい知れる要素を入れてくれているなぁって思いました。

      と、こんな感じで大河の感想、いろいろ思うことあって書きたいな~と思ってたんですが、全然できてなくて。
      というか、ブログ自体、全然更新できてなくて(-_-;)

      こうやって嬉しいお声をいただけたので、久しぶりにブログ更新がんばってみようかなという気になりました。

      本当にありがとうございます^^

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小町です
子どもの頃から「平安美人」と言われ続けてきた私が自分なりに調べたり、足を運んだり、体験してみたりしてわかった平安時代のあれこれを綴ってます
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