平安時代の貴族の部屋を素敵にみせる仕切り!でも寒すぎて無理!
きょうは前回の平安貴族の家には壁がないって話の続きです。
まだお読みでない方はこちらを先にどうぞ↓
でだ、こんなだだっ広い壁のない部屋で平安貴族たちはどうやって住まいを整えていたのか?
ということで、今回は平安時代の貴族の部屋の仕切りや気になる寒さ対策についてです。
平安時代の貴族の部屋の仕切り
平安時代の貴族の屋敷ではこの広い部屋をふだん使いするのはもちろん、催し事や来客によって部屋の仕切り方をいろいろ変えて使っていました。
そういった部屋の整え方を「室礼(しつらい)」といいます。
で、具体的になにで仕切りを作ってたかというと代表的なのはこのあたり↓
平安貴族の部屋を仕切る屏風
屏風は今でも目にする機会があるのでわかりやすいですよね。
イメージとしてはこんな感じ↓
平安時代の貴族の家の屏風には季節の風景をはじめいろいろな絵が描かれていて、その絵にあわせた和歌が書かれているものもあったそう。
2~6枚くらいの紙を張った板をつなぎ合わせていました。
平安貴族の部屋を仕切る几帳
平安時代の貴族の暮らしで人との間を隔てる家具といえば「几帳(きちょう)」!
源氏物語にも度々出てきます。
でも現代ではあまり見かけないのでイメージしにくいものでもある。
几帳は布を垂らして部屋を仕切る家具で、実物は人の肩から腰くらいとそんなに高さがありません。
平安女子たちはほとんど座ったままだし、部屋の中で移動する時は膝立ちでのにじりある気が基本。
だからこれくらいの高さで十分なんですね。
土台に骨組みをつけた衣紋掛けみたいなものに布を垂らして使います。
これはお雛様用の小道具だけど、几帳はまさにこの黒い棒みたいなやつに布をかけた感じ↓
几帳はたっぷりとゆとりをもった布や、垂らした紐の美しさで平安貴族が大好きな優雅な雰囲気を出します。
平安貴族の部屋を仕切る障子
障子といっても平安時代の貴族の部屋で使われていたのは今でいる襖(ふすま)のような物だったそう。
障子は柱と柱の間に設置して、錠をおろして開閉できないようにすることもできます。
源氏物語の「乙女」の帖には、夕霧が雲居雁に会いに行こうとしたけどふすまが開かなくて部屋に入れない!ってシーンがあります。
平安貴族の邸宅の中は屏風、御簾、几帳と簡単に押しのけられそうな家具ばかりで仕切られている中で障子は珍しく「開かなくできるもの」です。
平安時代の貴族の家は「御簾の中には入らない!」「几帳をどかしてはいけない!」っていうルールをみんながちゃんと共有してるから成り立つ住まい。
まぁ、雅な平安貴族は仕切りを乱暴に押しのけるなんて品のないことはしなかったようなので鍵がかからなくても問題なし・・・?
いや、
鍵がかからないからこそ気持ちを抑えきれず御簾の中に滑り込み、几帳を押しのけてスキャンダラスな恋がはじまってしまうこともあるのだけれど
平安時代の寝殿造の家はひたすら寒い!
さてさて、ここまで見てきてわかるように平安時代の貴族の屋敷は全面壁なしのドーンと大きなワンフロアです。
となると、当然ですけど・・・
っていうか、気密性に優れた現代のマンションの6畳のワンルームでも冬になったらめちゃくちゃ寒いのに・・・
いや、どう考えてもあんな開けっぴろげの家じゃ暮らせないと思うんですけど。
しかも、寝殿造りって風が吹きぬける造りといわれているし、夏はいいけど冬は地獄なんじゃないかと。
板張りのワンフロア、天井も高い、風もよく通る、エアコンも床暖房もない時代・・・
って思いますよね。
何か画期的な寒さ対策があったのか!?と思って調べてみました。
が、
やっぱりというか、案の定というか、そんなものはあるはずがなく
らしい
まずですね、風がものすごく強い日なんかは格子をあげない日もあった、ということなんですけど・・・
窓閉めてたって真冬になったら寒いですよね!?
何か立派な暖房器具があったのか??
と思いきや、やっぱりちゃんとした暖房器具なんてない。
部屋を暖めるのに使われてたのは「火桶」という木製の丸火鉢だけだったそう。
いや、それじゃ耐えられないだろう・・・
じゃあものすごく暖かい服装をしてたのか!?
というと残念ながらそれもなく。
着物を何枚も重ね着することはあったけど、布地に綿を詰めるとか保温効果を高めるようなことはしなかったらしい。
身だしなみに気を使う平安貴族のみんながそうしてる中で毛皮の羽織ものを着てた末摘花さんはそうとう異様だったんだろうなと。
でも、寒さ対策としては間違いなく正解のやつ。
源氏物語を読んでると京の都にも雪が降ってるんですけど・・・
これは本当に風邪ひいただけで命取りになるやつ、臭いからって髪なんて洗ってる場合じゃないと痛感しました。
あっ、平安時代の女性の洗髪事情はこちらに書いてます↓
平安時代の貴族の部屋まとめ
平安貴族の家はあんなに広くて豪勢なのに完全なる個室がないなんて、現代人からするとものすごく住みにくそうというのが正直な感想。
これで本当にプライベート空間を保てたんだろうか?
源氏物語の中でも衣ずれの音で人がいるのを察するって場面がいくつもあるけど、ほんと、生活音とかどうしてたんだろう??って思う。
ってかラブラブタイムとかどうしてたんだ?
2人の時間は女房たちも気を使って側から離れたみたいだけど、それで何とかなるものなのか??
あと、やっぱり気になるのはトイレですよね。
一説によると平安貴族の女子たちはトイレもこの大きな部屋の一角の仕切りの中でしたらしいんですけど・・・
絶対音したよね?臭いもしたよね?
知れば知るほど平安時代の暮らしに不安を覚えますw
平安時代のトイレ事情はこちら↓
でも御簾や几帳は綺麗で素敵♪と思うんだよなぁ。特に御簾はそれこそレースのカーテン代わりに使えそうな気がする。
ということで、御簾カーテンを探してみました↓
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面白くてふっと笑ってしまいました 笑
時々出てくる女の子のイラストも可愛いです。
とても分かりやすい解説ありがとうございます!
さらさま
つたないブログですが楽しんでいただきありがとうございます^^
忙しくて更新が止まりがちですがコメントいただけて「また書こう!」という気持ちがムクムク
おだてられると木に登るタイプです
ありがとうございました
私は小学校6年生の歴史の授業を作るために教材研究として拝見させていただきましたが、子供が好きそうな話題や、小町さんが興味を持ってたくさん調べたことがとてもたくさん伝わってきました。本当に面白かったです。ネタを使わせていただきます。
かなさま
コメントありがとうございます^^
楽しんでいただけて嬉しいです。
このブログに書いていることはあくまで「私が調べた限りでは」という感じなので、信ぴょう性に関しては微妙なところがあります、その点だけお気を付けください。
平安時代や日本の文化に興味を持ってくれる子どもが増えたら嬉しいなぁ♪